C-1 の独自性は、そのデザインプロセスから始まる。プロジェクトが実現する以前から、私の中には空間のシナリオが、まるで映画のストーリーボードのように明確にあった。それは建物の形から、照明のスイッチ位置という細部にまで渡っていた。
キュリオシティの特長は、空間から、プロダクト、グラフィックデザインまでシームレスにデザインすることで、プロジェクト全体としての統一性、そしてバランスをコントロールすることにある。今回のC-1も同様の考え方のもとにあり、通常、建築から内装、家具へと段階的にデザインされていく住空間のプロセスを見直し、住み手としての動きや視線の変化のなかで、自分や家族がどのように空間や物と関係していきたいかを問い直したものである。そこでは関係性の重要度は存在しても、空間と物とは全く同等に考えられており、同時にデザインが進められた。
建物を特徴づける回廊は、こうした人の動きを踏まえて生まれたものであり、通常、住宅ではあまり重視されない移動空間をあえて強調し、そこに意識的な視線の変化を加味することで、楽しさを感じる空間となっている。
また今回オリジナルにデザインを行った水栓などのプロダクトにおいても、エモーショナルな経験を生み出す装置として,使用する人の新たな動きや発見を誘発する。
住空間において、住み手が自由に描ける真っ白なキャンバスを与えることだけが、デザインする側の役割ではない。デザインが、人と空間の関係性を捉え、動き、ひいては身体のリズムやスピードまでをも気持よく変えていく。そうしたことも,これからの空間デザインの役割と考える。
Lobby (Photo: Nacasa & Partners )
Lobby lounge
Cafe in the park
The Dining
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